超人センシングで見違える世界へ──お客様の想像を超える、革新的なデバイス開発への「想い」
センシング技術×AIで、“超人性”のソリューションを追求
──センシングソリューション開発センターの役割と、現在担当している業務について教えてください。
ブンヨン :
新たなセンシング技術の開発をミッションとして、センサの開発とAIとの融合による今までにないソリューションの実現をめざしています。
現在の私の業務は、工場の生産性向上や不良率の低減を目的とした工場DXの推進です。生産データを分析することによって、生産プロセスの最適化や品質を向上するための仕組みの実現をめざしています。
現在の私の業務は、工場の生産性向上や不良率の低減を目的とした工場DXの推進です。生産データを分析することによって、生産プロセスの最適化や品質を向上するための仕組みの実現をめざしています。
松村 :
センターとして、人の五感や頭脳を超える“超人性”というものをテーマにセンシング技術を開発しています。“超人性”とは、「人の五感・頭脳を超える性能をめざしてセンシング技術を開発する」という意味合いでセンターが掲げている造語です。その中で私は、人の五感の「触覚」にあたる感圧センサの開発に携わっています。センサそのものの開発ではなく、センサが測定したデータを、活用しやすく変換するためのソフトウェアやシステムを考案するのが私の業務です。
幅広いソリューションを実現できる可能性があるのですが、今めざしているのはセンサを搭載したシートの実現です。たとえば、店舗や倉庫にシートを敷くことで、モノの荷重や位置を検知し、在庫管理の省力化などに役立てられるのではないかと考えています。
幅広いソリューションを実現できる可能性があるのですが、今めざしているのはセンサを搭載したシートの実現です。たとえば、店舗や倉庫にシートを敷くことで、モノの荷重や位置を検知し、在庫管理の省力化などに役立てられるのではないかと考えています。
自己満足に終わらない技術開発を。お客様に刺さる価値を提供
──技術者をめざしたきっかけを教えてください。
ブンヨン :
自分が使う技術を自分で作りたいという想いから始まりました。最初はSF映画みたいに、人を理解できるコンピューターシステムの開発を考えていたんです。人が今何を感じていて、何を求めているのか、その人の役に立つために考えられるコンピューターを実現したいと思い、情報系の大学院に進学して研究に取り組みました。
就職活動では、挑戦できる充実した研究環境を重視して企業を選択しました。この会社でなら、世の中にインパクトを与える開発にチャレンジできる。そう感じたパナソニックグループに入社を決めました。
就職活動では、挑戦できる充実した研究環境を重視して企業を選択しました。この会社でなら、世の中にインパクトを与える開発にチャレンジできる。そう感じたパナソニックグループに入社を決めました。
松村 :
私はブンヨンさんとは違いデバイスやハードウェア寄りの興味から始まっています。もともとロボットに興味があり、自分でデバイスやメカのプログラムを書いていたのですが、想定通りに動いた瞬間が楽しくて熱中していました。
大学院に進学して研究を進める中で実感したのは、デバイスの特徴や特性を理解した上で、それに適した情報処理をするソフトウェアが重要だということです。つまり、デバイスとソフトウェアのどちらか一方を開発するのではなく、双方が歩み寄って開発することが大事だと気づいたんです。
そこからデバイスとソフトウェアをつなぐ技術者になりたいと思い、多様な事業領域を持っている会社だと活躍フィールドが広いと考えました。その中でも人財育成を大事にしていて、とくに教育に力を入れているパナソニックグループを選びました。
大学院に進学して研究を進める中で実感したのは、デバイスの特徴や特性を理解した上で、それに適した情報処理をするソフトウェアが重要だということです。つまり、デバイスとソフトウェアのどちらか一方を開発するのではなく、双方が歩み寄って開発することが大事だと気づいたんです。
そこからデバイスとソフトウェアをつなぐ技術者になりたいと思い、多様な事業領域を持っている会社だと活躍フィールドが広いと考えました。その中でも人財育成を大事にしていて、とくに教育に力を入れているパナソニックグループを選びました。
──入社してから現在まで、どのような業務を担当してきたのでしょうか?
ブンヨン :
最初は筋肉が発する電気信号を計測して人の動きを解析するなど、生体センシング技術の研究開発からキャリアをスタートしました。具体的にめざしていたのは、高齢者の歩行を分析して転倒リスクを予測したり、人の心拍数を非接触で取得し、運転中に心臓発作が起こる予兆を検知したりといった技術です。
その後は表情やバイタル情報から感情を推定するなど、さまざまな技術の研究開発に取り組んできました。
その後は表情やバイタル情報から感情を推定するなど、さまざまな技術の研究開発に取り組んできました。
松村 :
私は入社以来ずっと、圧力センサに携わってきました。入社したのは圧力センサが完成してすぐの頃だったので、今までにない技術にどんな価値があるのか、自分たちで評価する装置や判断基準を作るところからスタートしました。
お客様の用途に合わせて、評価の仕様を策定したり、取得された結果の判定を行ったり。デバイスだけでなく、それを動かす回路や情報を読み込むソフトウェアなども含めて全体を俯瞰しながら取り組むうち、徐々に現在担当しているソフトウェアやシステムの開発へとシフトしていきました。
お客様の用途に合わせて、評価の仕様を策定したり、取得された結果の判定を行ったり。デバイスだけでなく、それを動かす回路や情報を読み込むソフトウェアなども含めて全体を俯瞰しながら取り組むうち、徐々に現在担当しているソフトウェアやシステムの開発へとシフトしていきました。
──研究開発に取り組む上で、どのような視点を大切にしていますか?
ブンヨン :
企業での研究開発は事業化をめざして行われますが、実際に事業化できるのはほんの一握りです。私が力を注いできた人の集中度を推定する技術も、お客様にプレゼンテーションをしてあと一歩というところまでたどりつきましたが、残念ながら事業化には至りませんでした。
そこで学んだのは、自分たちが良いと思う技術を開発するだけではだめだということです。その技術をどう活かすのか、それがお客様にとってどのような価値があるのか。お客様の視点に立ち、お客様に必要なソリューションを提案できなければ、すべて自己満足に終わってしまい事業化は実現しません。
そのことを学んでからは、お客様に直接ヒアリングして真の課題が何なのかを引き出し、解決にどう貢献できるかを徹底的に考えるようになりました。研究開発の道のりは長く、数多くの困難があります。それでも自分がやりたいことを納得いくまで追求できることが、一番のやりがいです。
そこで学んだのは、自分たちが良いと思う技術を開発するだけではだめだということです。その技術をどう活かすのか、それがお客様にとってどのような価値があるのか。お客様の視点に立ち、お客様に必要なソリューションを提案できなければ、すべて自己満足に終わってしまい事業化は実現しません。
そのことを学んでからは、お客様に直接ヒアリングして真の課題が何なのかを引き出し、解決にどう貢献できるかを徹底的に考えるようになりました。研究開発の道のりは長く、数多くの困難があります。それでも自分がやりたいことを納得いくまで追求できることが、一番のやりがいです。
松村 :
ブンヨンさんが言う通り、研究開発という仕事は自己満足ではいけないと思います。世の中やお客様にとって価値のある研究開発をするためにメンバーと何度も議論したり、実際にお客様と一緒にブラッシュアップしたりしています。
そうして実現したソリューションに対して、お客様が喜んでくださること。それが技術者としてのやりがいです。また、私たちが開発した技術を社内で高く評価されたときも、開発の苦労が報われたと感じますね。社内外に関わらず誰かに喜んでもらうことが、私のモチベーションになっています。
そうして実現したソリューションに対して、お客様が喜んでくださること。それが技術者としてのやりがいです。また、私たちが開発した技術を社内で高く評価されたときも、開発の苦労が報われたと感じますね。社内外に関わらず誰かに喜んでもらうことが、私のモチベーションになっています。
社内が誇る技術を結集し、かつてないロボットの開発に挑戦
──お2人で挑戦したプロジェクトで、とくに印象的だったものはありますか?
松村 :
人の五感を超えるセンシング技術を結集した、新しいロボットの開発に挑戦したプロジェクトです。ブンヨンさんは、目となり物の状態を判別する視覚センシング技術を搭載するソフトウェア担当として、私はその情報をもとにロボット自体を動かす制御技術を開発するハードウェア担当としてプロジェクトに取り組みました。
その中でとくに難しかったのが、センサやカメラで取得した膨大な情報を活かして、ロボットをどう動かすかということです。情報によって感知や伝達のタイミングは違いますし、ハードとしてもどういう動きを実現すれば目的を達成できるのかを考える必要があります。それらの膨大な情報を統合してデバイスを動かすというところが大変でした。
その中でとくに難しかったのが、センサやカメラで取得した膨大な情報を活かして、ロボットをどう動かすかということです。情報によって感知や伝達のタイミングは違いますし、ハードとしてもどういう動きを実現すれば目的を達成できるのかを考える必要があります。それらの膨大な情報を統合してデバイスを動かすというところが大変でした。
ブンヨン :
私のようなソフトウェア技術者としては、ハードウェアに依存せずに、開発の目標を達成することが醍醐味なのですが、それだけでは足りないと思っています。他社に負けないモノづくりを実現するためには、ハードウェアの特徴を最大限に活かしたソフトウェアを開発できる必要があります。
それを実現するには、自分が担当するソフトウェアだけでなく、ハードウェアについても深く理解する必要がありました。そのため技術情報を調査して知識を習得し、ハードウェア技術者と何度も議論を重ねながら、ベストな着地点を探っていきました。
それを実現するには、自分が担当するソフトウェアだけでなく、ハードウェアについても深く理解する必要がありました。そのため技術情報を調査して知識を習得し、ハードウェア技術者と何度も議論を重ねながら、ベストな着地点を探っていきました。
──それぞれ異なる役割を担っている中で、どのように連携を図っているのでしょうか?
松村 :
強みを発揮する領域は異なりますが、プロジェクトとして「より良い製品をつくる」という目標は同じです。その達成に向けて、お互いに高いレベルを要求するので議論が分かれることもありますが、双方が妥協せず難題に挑むことで、最終的には良い製品につながっています。これは当社のどのプロジェクトでも共通していると思いますね。
ブンヨン :
ロボットの開発には、さまざまな専門分野のメンバーが関わります。それぞれが担当した領域での仕事を最終的に融合して一つの形として完成させていく。その長いプロセスを遂行するには、最終形態をイメージしたり、隣の領域を理解したり、リスペクトしながら検討をしたり、コミュニケーションが大事になってきます。
他の領域のメンバーとの会話を理解するためにも、自分の専門分野以外の幅広い知識を習得することが重要になります。
他の領域のメンバーとの会話を理解するためにも、自分の専門分野以外の幅広い知識を習得することが重要になります。
松村 :
専門分野以外の知識を深めることは本当に大事ですよね。ハードウェアの技術だけを磨いていっても、良い製品はつくれません。両方を理解しているとハードウェアのあるべき姿の理解も深まります。各技術者が自分の専門分野を超えて、アンテナを張って情報収集することで、より良い製品につながる幅広い知識を学ぶことができます。
──どのようにして自分の領域以外の知識を習得しているのでしょうか?
ブンヨン :
当社は技術者のための学習環境がとても充実していると思います。たとえば領域ごとにセミナーがあったり、他の部門がどのような研究をしているかの発表会があったりなど学ぶ機会が豊富です。世の中は常に進化していて、AIの進化も著しいです。会社としても技術力を高めるために、もっと学ぶ機会を増やそうとしています。
松村 :
当社の技術者は、年齢に関係なくみんな学習意欲が旺盛です。社内での勉強会や座談会も活発に行われています。とくに私の部署では専門分野がまったく違う人たちが同じプロジェクトに属しているので、前提知識や背景となる知識などを共有する勉強会もあります。知識をみんながアップデートしているので、追いつけ追い越せの姿勢で貪欲に学べています。
見えないところから、見違える世界に変えていく
──今後はどういう目標にチャレンジしていきたいですか?
ブンヨン :
これまで培ってきた生体センシング技術を活かし、人と共存しながら、理解し、困っていることを助けられるような機械やコンピューターシステムの開発に挑戦していきたいです。
その実現のためにAI分野の知識を深めることはもちろん、ハードウェアの知識や、お客様や世の中を理解するためのマーケティングも学んでいきたいと思っています。
その実現のためにAI分野の知識を深めることはもちろん、ハードウェアの知識や、お客様や世の中を理解するためのマーケティングも学んでいきたいと思っています。
松村 :
私はリアルとバーチャルをつなぐセンシング技術の開発に挑戦したいです。人の五感を精度高くセンシングし、その情報を処理してその人にとってベストな状態を予測する。それをさらにデバイスの活用などを通じて現実世界へとフィードバックする。そんなバーチャルと現実世界を行ったり来たりしながら見違える世界に変えていけるセンシング技術をめざし、ソフトウェアとデバイスの開発に取り組みたいと思います。
その実現に向けて注力したいのは、センシングした情報をいかに世の中に役立つものにするかということです。技術者として事業化につながる技術を開発するという目的は変わりません。
一方で、本当に社会を豊かにするためには、技術を最終的にどう使ってもらうか、出口の部分を考える必要もあります。技術の進化とマーケティングを掛け合わせることは対局的な考え方になる部分もあるのですが、他社に追従を許さないデバイスを実現するために挑戦していきたいです。
その実現に向けて注力したいのは、センシングした情報をいかに世の中に役立つものにするかということです。技術者として事業化につながる技術を開発するという目的は変わりません。
一方で、本当に社会を豊かにするためには、技術を最終的にどう使ってもらうか、出口の部分を考える必要もあります。技術の進化とマーケティングを掛け合わせることは対局的な考え方になる部分もあるのですが、他社に追従を許さないデバイスを実現するために挑戦していきたいです。
──最後に、パナソニック インダストリーの魅力はどこにあると感じますか?
ブンヨン :
さまざまな製品や技術領域があるので、技術者としていろいろな可能性にチャレンジできることです。デバイステクノロジーの領域はハードウェアからソフトウェアまで幅広く、担当できる業務の範囲は多岐に渡ります。
そして範囲が広いからこそ、多様なバックグラウンドを持つ人財が活躍していることも魅力です。それぞれが専門分野を活かし、互いに切磋琢磨できる環境があるため、技術者として絶えず成長し続けることができます。
そして範囲が広いからこそ、多様なバックグラウンドを持つ人財が活躍していることも魅力です。それぞれが専門分野を活かし、互いに切磋琢磨できる環境があるため、技術者として絶えず成長し続けることができます。
松村 :
多様な技術者がいる魅力は、私も同感です。当社のミッション「多様なデバイステクノロジーでより良い未来を切り拓き、豊かな社会に貢献しつづける。」のとおりですが、デバイスと言ってもさまざまな領域があります。材料を考える人から設計、製造プロセス、品質保証、マーケティング担当まで。1つの目的のためにいろんな技術者が力を合わせて仕事をしています。
なによりいろんな社員がいるだけでなく、一人ひとりの想いが強いです。想いがあるからこそ、経験や年齢に関係なくオープンに議論ができます。技術者として間違っていることは伝えるべきという風土ですし、思ったことは言える環境です。その上でわからないことや困ったことがあれば、皆さんがサポートしてくれます。技術者としてさまざまな経験を積み、成長し続けたい方には、理想の環境だと思います。
なによりいろんな社員がいるだけでなく、一人ひとりの想いが強いです。想いがあるからこそ、経験や年齢に関係なくオープンに議論ができます。技術者として間違っていることは伝えるべきという風土ですし、思ったことは言える環境です。その上でわからないことや困ったことがあれば、皆さんがサポートしてくれます。技術者としてさまざまな経験を積み、成長し続けたい方には、理想の環境だと思います。
※ 記載内容は2024年6月時点のものです