磨いた技と知識でモノづくりの未来を変えていく──熱気に満ちた、モノづくり競技大会最終日をレポート!
国内外から、この日のために研鑽を重ねた1,900人が集結
朝7時から、競技参加者たちが続々と会場に到着。戦いの舞台は大阪府枚方市にある、パナソニック人材開発センターモノづくり研修所です。緊張感を力に変えようと1人で集中する参加者もいれば、応援に駆け付けた先輩社員とリラックスして話し込む参加者の姿も。2週間余りにわたって行われてきたモノづくり競技大会の最終日にして、最大の盛り上がりを見せるこの日、技術力向上を目指して努力を積み重ねてきた社員は、それぞれのスタイルで競技開始の瞬間を待っていました。
モノづくり競技大会は、スキルアップ、学びの場として1962年に初めて開催され、パナソニックグループのモノづくり力強化に貢献してきました。競技種目は「フライス盤」や「平面研削盤」といった工作機械を操作するものから、「工場管理」「設備安全」といった学科競技やPC競技まで幅広く、全42種目。
難易度によって競技内容がランク分けされた種目もあり、68ランクを設定。この大会は、全参加者と競技運営委員の相互のスキルアップを目指し、参加者が競い合い学び合う場であり、一人ひとりがスキルを向上させて職場、そしてパナソニック インダストリー全体のモノづくり力強化につなげていくことが目的です。
最終日は工作機械を使用する種目など、ここでしか実施できない競技が中心に行われ、中国やタイ、マレーシアなどからも参加者が集まっていました。
モノづくりの伝統を継承し、発展を遂げる場に
最終日における開会式では、パナソニック インダストリー社長の坂本 真治が集まった社員に向けて、「当社は全世界に生産拠点を持ちながらも、国内にマザー工場を持つ、パナソニックグループの中でもまれな例」だと話します。モノづくりの伝統を継承しながら今後も発展を遂げていくためにモノづくり競技大会を通じて他拠点や他事業部、そして国外の拠点の参加者と交流を図り、学んだことを自拠点に持ち帰ることができる学びの場としてほしいと、参加者にエールを送りました。
続いて、社員代表2人による選手宣誓があり、競技がスタート。90分から最大で4時間までの競技時間の間に、与えられた課題をクリアし、その完成度を競います。
スキルを競う多様な種目。公式な「腕試し」のチャンス
研修室で、それぞれの競技がスタート。参加者は皆真剣に手を動かしています。各社から応援に駆け付けた社員が、静かに競技の行く末を見守っていました。
実習室では、フライス盤、旋盤、平面研削盤など大型の工作機械が何台も並び、大きな音を立てながら参加者たちがスチール材を加工。「フライス盤」競技では、スチール材に与えられた図面通りの溝を彫り、穴を開け、立体パズルのようにぴったりと組み合う加工をしなければなりません。難易度によって2種に分かれ、Aランクは「かなり難しい」と運営委員の1人が話す通り、国家資格である機械加工技能士1級に相当するスキルが設定されています。パナソニック インダストリーからは2人がAランクに挑戦、鋭い視線で図面を確認しつつ、きびきびとした動作で迷いなく正確に加工を行っていました。
「画像認識」の競技は、カメラが与えられ、フィルターなども駆使しながら不良品を検知できるようプログラムを作成します。良品と不良品を区別するポイントはどこか、正確に画像から診断するためには、どのようにコードを書けばよいのか。参加者は調整を重ねながら精度を高めます。
「電子複合」競技は、複数のパーツをコードでつないで装置を組み上げ、PCを使ってプログラムを作成する複雑な競技。課題の通りに動作するように、ハードとソフトの両面からアプローチします。想定した動きをしない──。原因はどこか、参加者は制限時間と戦いながら慌ただしく目を走らせていました。
「機械製図手書き」の競技会場は静かな緊張に包まれます。デジタルでの図面製作が主流になって久しいですが、ペンを走らせ、製図版を操作して書き上げるアナログな手法は、全ての設計の基礎にあたります。
ただ課題を書き写すだけではなく、図面から設計意図を読み取って反映しなければ、良い図面にはなりません。図面に鼻が付くような近距離で、細かく線を引いていく参加者。どの競技会場も参加者がこれまで培った技術と知識で、全力で競技に向き合っています。会場内は静かですが、そこには「やり遂げる」という気迫が満ちているようです。
やり遂げたからこそ、持ち帰るものがある。技術継承にかける想い
競技を終えた参加者に話を聞きました。
日常業務ではフライス盤を使うことはありませんが、こうして自分の手で材料を加工することで、扱う材料や加工方法にも今まで以上に注意が向き、日々の仕事に持ち帰るものが多いと思います」
参加者の補助を担当していた運営委員の1人にも話を聞きました。
私自身も数年前まではモノづくり競技大会に毎年参加していました。今は運営委員として、後輩社員のスキルアップの手伝いができることをうれしく思います」
「電子複合」競技では、同じ職場から出場したという参加者2名にも話を聞きました。
「私は逆にとてもうまくいきました。ここ5年、毎年違う競技に参加して昨年は金賞をいただくことができました。今年も入賞を果たせば、モノづくり競技大会の選手は卒業で、運営委員で参加することになると思います。良い結果を心待ちにしています」
それぞれの参加者から伝わってくるのは、「やりきった」という達成感。競技を通じて、さまざまな気づきがあったようです。
競技最終日から約1か月後に、パナソニック インダストリーの入賞者を集めて表彰式が開催されました。各競技での金賞受賞者や功労賞、特別技能賞の受賞者ら42人が、大会会長である社長の坂本から表彰状を受け取りました。名前が読み上げられるたびに大きな拍手が起こり、参加者は互いの功績をたたえ合い、喜びを分かち合いました。
坂本は今後の展望について、「国内外から多くの参加者を集めた今大会の成果はあくまで通過点。日本国内・国外の区別なくグローバルな発展を目指したい」と話し、今後はさらに多くの国外からの参加者を募るとともに、ゆくゆくは海外拠点である上海などでグローバル大会を開催できるようにしたいと語りました。
副社長の奥田 茂雄からは、「技術を育て、継承していくことが強いパナソニック インダストリーを作る良いスパイラルになる」と今後も活気あふれる大会開催への期待が寄せられ、同時にグループ全体で行われるパナソニックグループ大会へと歩みを進める受賞者たちへ熱いメッセージが送られました。
モノづくり競技大会を通じて、自分自身の課題を見つける人、手応えから自信をつける人、次のステップへと進もうと決意する人──。参加した社員はさまざまな「想い」や気づきを自身の職場に持ち帰り、「見えないところから、見違える世界に変えていく」ために、さらなる技術継承の輪を紡ぎ、さらに大きな輪へと育てていきます。
※ 記載内容は2024年9月時点のものです