20代で海外に駐在──産業を通じて各国の発展に寄与したい「想い」

熱意と誇りにあふれる、インダとの出会い

2016年の新卒入社後、河野は営業本部に配属。モノづくりについて学ぶための事業部トレーニーなどを経て、シンガポールやインド、韓国などの地域の営業職を担当した。韓国では幅広い事業領域を擁する企業を担当。多種多様なデバイス&マテリアルを提供するインダだからこそ、お客様の多様なニーズに応えられるという実感を得た。
そう語る河野は大学時代、開発経済学を学んでいた。カースト制度の中で社会的な地位を得ることが難しい女性がインドでどのように働いているのか知りたいと、ムンバイへ留学。経済発展が著しいムンバイを目の当たりにして、産業に強い興味を抱いた。「自分自身の経験やスキルを生かしながら、国の発展に寄与したい」──その想いをかなえるために選んだのが海外に多数の拠点を持つインダだった。
加えて決め手になったのは「人」だと河野は言う。
アメリカ赴任の転機。先端テックの地、シリコンバレーへ

転機が訪れたのは2021年、入社5年目のことだった。アメリカ赴任の白羽の矢が立ったのだ。それまでアメリカでのビジネスは担当したことがなく、チャンスに胸を躍らせながらも不安もあったと言う。
赴任してすぐに任されたのは、テック企業に向けた営業企画だった。世の中をリードする商品をつくるために、彼らは常に革新的かつ、すぐに使える製品を求めている。いかに販売を伸ばし、継続してビジネスを行っていくか……。そのために必要なすべてを担うポジションだ。
現地販売会社の営業と綿密にプランを立て、課題があれば日本の事業部と共に解決していく。環境やCSRにまつわる条件も非常に厳しく、契約手続きや商習慣にも対応しながら販売推進を続けた。
働く環境も日本とはかなり異なりましたね。でも満員電車に乗る必要はないし、なにより気候が私に合っていて、毎日健やかな気持ちで仕事ができました。電車通勤の今の方が大変かも(笑)」
慣れない仕事に臨む上で河野が大切にしていた教えがある。
アメリカだけではなく、日本の本社も含めた全体の把握。今の自分の業務には何が求められているのかを常に考えながら仕事をしていました」
ある契約締結では、テック企業のスピード感に圧倒されたと言う。
ただし、お客様のスピードに合わせるだけではリスクもあるし、安易に契約を結べばお客様に迷惑をかけてしまうことにもつながりかねません。リスクを検討してつぶしておくために、関連する複数の自社工場やそれにひもづく事業部や営業、日米の法務や環境施策の担当部門など非常に広範な関係部署の人と内容をまとめることが大変でした。
『本当にお客様に求められることは何か』──丁寧に社内の意見を聞きながら、なんとか契約を結ぶことができました。この契約はインダの環境施策の中でも先進的な例となり、その後の施策を加速させるきっかけになったと思っています」
次の挑戦に向け、逆算で「今」を見つめる

シリコンバレーで得たものは大きかった。仕事の取り組み方が目に見えて変わったと言う。
今、日本で考えていることを販売会社に展開すると、きっとこういうリアクションが返ってくる。ここが課題になってくるだろうなと、解像度高く予測できるようになったと思います」
異なる文化圏の人と仕事をしていく上で、必要なのは想像力だと留学や駐在で学んだ。
帰国後は、経営企画として営業本部の組織運営や営業戦略を担い、グローバルな課題の解決に尽力。営業組織をよりよくし、お客様にさらなるお役立ちを提供するために世界各地の販売会社と連携を取って販売成長の実現をめざす。北米から帰任した河野が、経営企画の職域を志望したのには理由があった。
見えないところから、見違える世界に変えていく

次は未経験の土地へ挑戦したいと語る河野。見えないところから、見違える世界に変えていく。そのためには、より広い世界で経験を積み、そして日本から世界を変えていきたいと言う。
ビジネスの目標の一つは、その国の経済発展が挙げられると思っています。われわれはサプライヤーではありますが、現地の製造業が盛り上がり、現地生産が増えれば、そこに雇用が生まれて経済が回ります。そうして、国の発展に寄与したい。そのためにも、販売会社や日本の営業本部、さまざまな統括部などを取りまとめ、一つの目標に向かって引っ張っていく人になりたいと思っています」
夢を実現していくために欠かせないのは、まず自分のやりたいことを明確にすることだと、海外での仕事を志す人にアドバイスを送る。
入社するまで海外経験がなかったものの、絶対に赴任したいと研修や自己研鑽で努力を重ねている後輩もいます。挑戦したい気持ちさえあれば、チャンスはもらえる会社だと思います。目の前のチャンスを精いっぱい生かしていくことが大切だと思います。
私がもう一つ意識しているのが、女性として海外で働くという部分。日本では、女性が海外に駐在して働くという例が少ないように思います。自分の姿を通して、こんな働き方もできるんだということを伝えられたらうれしい。会社にも、子どもがいる環境でも海外赴任ができるようなサポートが必要だと、折に触れて発信するようにしています」
「ライフステージを問わず、誰もがグローバルな活躍に挑戦できる環境がある会社にしていきたい」と言葉や行動で表している。それは、彼女自身も挑戦を続けているからこそだ。高い目線をもって次のステージをめざす河野は、今日も「挑戦の道」を切り拓いている。
※ 記載内容は2025年5月時点のものです