要素開発から量産まで──最強の“ハイブリッド型”スペシャリストを目指す「想い」
若手エンジニアとしての挑戦──要素開発担当への抜擢

パナソニック インダストリー(以下、インダ)が独自工法を用いて開発した「透明導電フィルム FineX(ファインクロス)」。一見すると透き通った1枚のフィルムだが、表面には視認できないレベルに細かい配線が施されている。
ビルや車の窓に貼れば、車内空間や建物の意匠性を損なわずに透明アンテナとして利用できる。また、狙った場所を効率よく温める「狙った場所を効率よく温める透明ヒーター」としても使用でき、環境性能でも優れているという。
井原の任務は「FineX」の要素開発。新規材料の導入検証や顧客要望に応じた材料探索、金属膜の成膜工程の開発から量産化、製品評価までの一連のプロセスを担当する。入社2年目には新テーマを任され、主体的に開発を推進している。
現場で磨かれる実践力──試行錯誤と成長の日々

新規材料の導入では、多くの試行錯誤があった。複数の材料を試しながら最適なものを選定する過程では思い通りにいかないことも多く、壁にぶつかることもあった。そんな時、井原は同じ工程を担当する先輩や上司に相談しながら、工場での製造実験や評価を繰り返すことで乗り越えてきたという。
実験室ではクリアにならなかったことが、製造現場に行って現物の装置を自ら動かすことで見えてくることも多々あるという。何社もの企業から多数の材料を取り寄せ、さまざま試したある日、一つの材料が「バシッとはまった」という。
高専で培った複合的な知識と経験──化学×機械で広がるキャリアの可能性

井原は学生時代を高専で過ごし、本科時代の5年間では化学生物系を選択、専攻科時代の2年間では機械制御系に進んだ。
井原の通った高専は、化学であれば有機も無機も学び、材料に関してもレクチャーがあり、幅広い知識を得る機会を提供してくれた。加えて、実験や実習の機会が多かったことが印象に残っているという。
高専を卒業した井原は、地元・岡山県津山にも工場を構えるインダに就職した。
見えないところから、見違える世界に変えていく

高専卒業時には「組織責任者として働く母にあこがれ、自分自身も組織をまとめる存在になってみたい」と思い描いていた。しかしインダで過ごすうちに「自分の担当領域の開発から量産までを一貫して極めて、皆から頼られるスペシャリストになりたい」と、想いは形を変えつつある。知識や経験が豊富な先輩を上回りたい。実験室では得られない現場での体感を誰よりも習得したい。
インダは若手にチャンスをくれる職場であり、「自分の成長を求める就活生には、ぜひ挑戦してほしい会社」だと井原は推す。主体的に挑戦できる風土と、考えたことをすぐに実践できる環境があったからこそ、成長に最適な職場だと実感している。
見えないところから、見違える世界に変えていく──井原はこれからも「化学×機械」「実験室×製造現場」のハイブリッドなバックグラウンドを武器に、 開発から量産に至るまで知見も実現力も極めて、誰からも頼られるスペシャリストとしての道を切り拓いていく。