他社にマネのできないモノづくりを実現したい──夢を追い続ける生産技術者の「想い」
「祖父みたいになりたくて」──将来はものをつくる仕事がしたい
子どものころのヒーローは、祖父だった。宮大工をしていて、釘を1本も使わず魔法のようになんでもつくってしまう姿がかっこよかった。
祖父みたいになりたくて、現場について行っては手伝いと称して見よう見まねでものをつくった。すると、みんなが笑顔になるのが嬉しかった。何より、今までなかったものが、自分の手で生み出せることがおもしろくて仕方がなかった。
それは野間にとって、夢というよりは将来の決定事項であった。高校は、迷うことなく工業系を選び進学した。
大学では、工学部の物理工学科に入り、ナノテクノロジーを学んだ。そして、就職活動が始まるとモノづくりの会社を回った。その中のひとつがパナソニックだった。はじめは第1志望ではなかったが、会社を調べていくうちにイメージが変わったと言う。
生産技術への配属──未経験の仕事は、大変だけどやりがいに溢れていた
配属されたのは、デバイス部門の生産技術だった。
でも、心のどこかでワクワクしていました。今までやったことないことにチャレンジできるってことは、むしろ望むところでしたから」
生産技術は、簡単に言えば製品を量産するためのより良いつくり方を考え、そのための設備や体制をつくる仕事だ。
1台の設備にプロセスのどこからどこまでを担わせるのかも、設備の仕様を決める上で大事な要件。
ひとつの製品をつくるには、20以上のプロセスがあり、5台から10台以上の設備が必要となる。その一つひとつで品質やコスト、納期、安全、環境への配慮といった点から検証し、それぞれの最適解を見つけていくのには、気が遠くなるほどの試行錯誤をしなければ始まらない。
前例のない技術への挑戦。技術大会を通して、不安は自信へと変わる
生産技術の仕事を一通り経験した後、「画像認識技術」を使った設備開発の立ち上げを任されることに。
新しい装置で職場の誰も分からないことですから、自分でマニュアルを読んで毎日がトライ&エラーの繰り返しだった。
これでいいと思えるものができても、前例がないことなので自信が持てなかった。そんな中、社内の技術大会に参加したことで道が拓けた。
見えないところから、見違える世界に変えていく
野間は、本業の生産技術に加え、社内複業制度を利用しダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)推進室でも仕事をしている。「チャレンジを後押しする環境」と「自由に発言できる風土」の、より一層の醸成に向けてDEIの理解と浸透に力を入れている中で、ふたたび思い出すの「ものをつくる前に、人をつくる」という、創業者・松下 幸之助の言葉だ。
これまで、つくることにこだわり続けてきた野間が、これからつくりたいものとは──。
どんなに斬新な製品でも、世の中に出ていけば分解され、そこにどんな技術や材料が使われているのかを他社に比較的容易に解析されてしまう。しかし、それを「どうやってつくっているのか」についてまでは把握が難しく、他社と差別化できる絶好のポイントになるのだと野間は語る。
見えないところから、見違える世界に変えていく──。より高品質で、生産性が高く、低コストな誰にもマネのできないモノづくり。これを、パナソニック インダストリーの生産技術の進化によって実現させることが、この先の野間の夢となっている。
※ 記載内容は2021年10月時点のものです